わかりにくい債務者区分とは?
要注意先とか、破綻懸念先とか、どうも理解しにくい、信用格付、債務者区分とは?
信用格付、債務者区分とは?
要注意先、とか破綻懸念先、というような言葉をお聞きになったことはございますか。
このような事を気にしないで会社を経営出来ればそれに越したことはないですが、会社の発展のためには銀行とうまく付き合っていくことが必要であることも事実だと思われます。
ちょっと知っておくだけでも、銀行担当者がなぜこのような考え方をし、行動をするのか理解出来(即ち、「敵を知る」ということでもあります)、それに対する対応もしやすくなります。
どういうことかごく簡単にお示しします。
今は一般的にどの銀行も、信用格付制度を採用し、これをベースとして貸出先毎に債務者区分を定め、自己査定を実施しています。この自己査定は、金融庁が作成した「金融検査マニュアル」を踏まえて、各銀行がそれぞれ定めたルールに基づいて行っているのです。
信用格付とは、債務者の決算内容等の定量情報と定性情報に基づき、10段階程度(銀行によって異なります)にその信用状態をランク付けしたものです。
一般的には、コンピューターに決算数値等を登録すると、予め定められた算式により格付が算出されてきます(各銀行で異なります) 。最近は、貸出金額や金利水準も、この格付に連動することが多いようです。
債務者区分とは、信用格付をベースとして貸出先等の債務者を、それぞれの財務・経営状況に応じ、正常先、要注意先(要管理先)、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先に分類するものです。
銀行では、この債務者区分毎に、貸出金等の資産につき担保設定状況等を勘案して資産分類を行い、この査定結果に基づいて貸倒引当額を決定します。債務者区分が悪化すると(特に「要管理先」以下に落ちると)、銀行はその企業に対し、追加の貸出を行うのは困難になります。
基本的に、銀行は、貸出先(債務者)に対して信用格付や債務者区分を知らせませんので、自社がどのような区分になっているかはあまりご存じないでしょう。また、銀行毎に区分が異なっていることも十分有り得ることです。
売掛債権や棚卸資産、関係会社宛債権等について、前期と比較して大きく変動したような場合に、説明が不十分であったために保守的にゼロと評価され、実態債務超過などと査定されてしまっては、後から大変なことになりかねません。銀行とうまく付き合う必要があるというのはこういう訳です。