失敗するケースが増えています。
平成27年より、相続税の計算上、基礎控除が4割削減され、最高税率も引上げとなりました。従来、相続税が課税されたのは亡くなられた方の4%程度でしたが、この改正後には、全国平均で8.0%と、倍近くになりました。
なお、東京都だけに限定すると、この割合はなんと12.7%となっています(前年比+5.2%)。
以下の点に鑑み、今後はますます本格的な対策が必要な時代になって行くのは間違いありません。
1、相続税は、事前対策の巧拙により、課税額が大きく変わること
2、贈与税については、生前贈与を促進する方向での見直しが行われることから、計画的な贈与を実施することにより、効果的な対策を行うことが可能であること
3、事業承継については、相続税、贈与税の納税猶予制度が創設されたことから、中長期的展望に立ち、対策を立てることが可能になったこと
しかし、そもそも相続や事業承継とは、税金だけの問題ではありません。対策を誤ったために、家族、親族との関係がおかしくなったり、同族会社の経営全般に悪い影響が出ることもよく見られます。
税金対策は当然必要ですが、相続人全員の関係性や会社の将来像をしっかり見極めつつ、基本方針を明確にして長期的な対策を早期に始めることが大切なのです。
相続対策で大切なのは、事前対策です。
相続対策とは、限られた資産家だけに必要なものなのでしょうか。実は、遺産分割でもめて裁判所に持ち込まれるのは、財産額1千万円〜5千万円以下が全体の4割超で最も多く、1千万円以下がそれに次ぎ、約3割を占めています。なんと全体の約4分の3は、財産額5千万円以下で起きているのです。
財産がご自宅のみで分割できない、という場合もありますが、取りあえず共有にしたため、かえって後日、大きな問題になってしまったという話もよく聞きます。
相続税を減らす、あるいはかからないようにする、という対策も重要ですが、財産を分けやすい形にしておく、遺言を用意する、納税資金を準備しておく、というのがより大切だということがお分かりになるでしょう。
選択肢が多くある中で、有効な対策を行うためには、専門家のアドバイスを受け、早く着手することが大切なのです。
dummy
事業承継対策は企業の最重要課題の一つです。
営業面、管理面も全て社長がお一人で見られているようなケースで、社長に万一の事が生じた場合、後継者は当初相当の苦労をされる筈です。最悪の場合は存亡の危機に瀕することもあります。
また、遺産である非上場株式の評価額が高く、遺族に多額の相続税がかかるため、その納税資金調達が困難になるケースがあります。
先代までに相続対策として、多くの親族に株式を分散した結果、お互いに会ったこともない株主が100人以上となっているようなケースもあります。
いずれの場合も、後継者が経営を行うに当たり、深刻な問題に発展する懸念があります。
単に相続税を少なくすればよい、という短期的な考えが、中長期的に誤った方向に行ってしまう可能性も大きいのです。
企業の従業員、取引先、そして親族のためにも、中長期的、計画的な承継策が必要です。
dummy